CULTURE
誰もが知る必要のある恐怖『風が吹くとき』
『風が吹くとき』
|
風が吹く──この言葉から連想するのは、いまのような暑い季節だと涼やかさだったり、何かのきっかけを待っている人にとっては、後押ししてくれるイメージだったりするかもしれません。
しかし、アニメーション映画『風が吹くとき』が示す風とは、核爆弾による風です。イギリスの片田舎で暮らすジムとヒルダの平凡な夫婦に吹いた風は、凄まじい熱を運んでくる風、命を奪う風でした。ひと組の夫婦を主人公に、核戦争の恐怖を強く訴える物語です。1986年に英国で制作され、翌年に日本でも劇場公開。今回は、日本語吹替版のリバイバル上映となります。
物語のなかでジムとヒルダが経験するのは、二度の世界大戦の後に起きた新たな世界戦争。彼らは、戦争を経験しているのに、どこか呑気なようにも見えます。政府の教えにしたがってシェルターも作るけれど、本当にそれで防げるの?と驚くようなシェルターで。そんな馬鹿な……と唖然としますが、その背景には、いかに正しい情報をキャッチできるかの問いかけもある。核戦争の恐怖だけではなく、無関心であることや無知であることの恐怖も伝えている。風刺も込めているのです。
原作は、レイモンド・ブリッグズの世界的ベストセラー絵本。「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」で知られる作家なので、幼少期に彼の作品に触れた人もいると思います。映画の脚本も担当。そして、映像化にあたっての監督は、ジミー・T・ムラカミ。冒頭シーンをはじめ実写映像を入れることで、物語と現実は繋がっているのだと描いています。
絵としてはとても柔らかく温かいタッチなので、目に入ってくるふんわり感、脳内に流れていく戦争の恐怖、そのギャップがなかなかショッキングですが、であるからこそより一層記憶に残るのです。
デヴィッド・ボウイの主題歌も感動度 |
★★★★☆
|
核戦争の脅威についての警鐘度 |
★★★★★
|
映画を観て感想を話し合ってほしい度 |
★★★★☆
|
|
原作・脚本
レイモンド・ブリッグズ
監督
ジミー・T・ムラカミ
大島渚(日本語吹替版監督)
出演
森繁久弥
加藤治子
配給
チャイルド・フィルム
『風が吹くとき』(日本語吹替版)
8月2日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
ⒸMCMLXXXVI
|
RECOMMEND
YAGI EXHIBITION × BOY × MAD MAGIC ORCHESTRAのスペシャルナイト♡
365ANNIVERSARY Playback5 2018.2.1~2018.2.28
meets our nylonista ブリトニ・スミダ
CULTURE NEWS
国内最大級のヒップホップフェスティバル『POP YOURS』が 幕張メッセにて開催決定!
ペアで撮影したい韓国の最新フォトブースがかわいすぎる♡–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.438
坂東龍汰の繊細な演技が光る『君の忘れ方』