CULTURE
河合優実と山中瑶子監督に引き寄せられる『ナミビアの砂漠』
『ナミビアの砂漠』
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映画の記憶というのは不思議なもので、自分にぴたりとハマった映画は、どんなに時間が経とうとも鮮明に何かが記憶に残っているものです。強烈なワンシーンを覚えている、特定のセリフが忘れられない、その映画を観たときに感じた気持ち──登場人物の感情、それに重ね合わせた自分の感情が記憶されていることもあるでしょう。
『ナミビアの砂漠』の主人公は、東京の片隅で暮らす21歳のカナ。自由奔放で、感情が不安定で、ちょと意地悪で、何をしたいのか自分自身も曖昧で、そんなカナを河合優実さんが演じています。
描かれるのはカナの日常、カナの人生の一部です。優しいけれど退屈な恋人・ホンダとの同棲生活にさよならして、自信家の映像クリエイター・ハヤシに乗り換えますが、次第に退屈な世の中と自分自身に追いつめられていきます。
カナは、自由に生きているように見えますが、砂漠でオアシスを求めるように、日常に、人生に、微かな潤いを求めていて。カナに自分自身を重ね合わせてしまうと、とても苦しくなのは、多かれ少なかれ誰もが感じたことのある若さゆえの苦しさ、息苦しさ=生きづらさが描かれているから。
河合優実主演でオリジナル映画を撮る──という企画が立ち上がったのは2023年5月。わずかな時間のなかで奇跡のような映画が生まれました。
撮影当時22歳の主演俳優と26歳の監督。年齢は単なる記号ではあるものの、この映画に関しては、彼女たちの今の年齢だからこそ撮れた映画なのではないか、とも思うのです。この時代、この年齢でしか感じられないものを映画という箱に閉じ込めた。
今、カナと近い年齢の人は、自身のなかにある行き場のない感情に結びつくでしょうし、カナの年齢を通り過ぎてきた人は、かつて自分のなかに湧きでた感情を引っ張り出されるでしょう。山中瑶子監督の映し出す視点は、感情をゆさぶる視点。生々しくて、痛々しくて、どうしたって愛おしく感じてしまうのです。
山中瑶子監督と河合優実の共鳴度 |
★★★★★
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カンヌをはじめ映画祭で話題度 |
★★★★☆
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タイトルの意味を考える度 |
★★★★☆
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監督・脚本
山中瑶子
出演
河合優実
金子大地
寛一郎
新谷ゆづみ
中島 歩
唐田えりか
渋谷采郁
澁谷麻美
倉田萌衣
伊島 空
堀部圭亮
渡辺真起子
配給
ハピネットファントム・スタジオ
9月6日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
Ⓒ2024『ナミビアの砂漠』製作委員会
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