CULTURE
主演・吉沢亮の新境地『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
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映画を観て「あ、これは私の物語でもある」と感じることがあります。それは、登場人物が自分と似たような境遇だったり、同じような経験をしていたり、何か共通点を見つけると、とても親近感が湧くのではないかと──。
呉美保監督の9年ぶりの新作、吉沢亮を主演に迎えて描く『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、きこえない⺟ときこえる息⼦が織りなす物語。
コーダという⽣い⽴ちを踏まえて社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする、作家・エッセイストの五⼗嵐⼤⽒による⾃伝的エッセイ「ろうの両親から⽣まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を⾏き来して考えた30のこと」の映画化です。
この映画における多くの人にとっての共通点は“母と子”になるのではないかと思います。
子供の頃は大好きだったのに、成長するにつれて関係性がこじれていく、そんなこともあるでしょう。この映画の主人公・大もそのひとりです。
大は、⽿のきこえない両親のもとで愛情を受けて育ちますが、家族という集団から一歩出て、学校という別の集団に身を置くことで、自分が当たり前だと思っていたことがどうやら当たり前ではないことに気づく。そして、周りから特別視されることに⼾惑い、苛⽴ち、そういった行き場のない感情を母にぶつけてしまうのです。
きこえる世界ときこえない世界。ふたつの世界を行き来する主人公の感情は、当人にしかわからないことだと思いますが、人は、家族という集団から始まり、幼稚園・小学校・中学校・高校・大学や専門学校などを経て社会人へ──。その過程の中で、自分と他人との違いを感じて、知って、時に戸惑いながらも大人になっていくものです。
誰もが何かしら葛藤を抱えているし、何かしら背負って生きている。だから、この映画の主人公の人生は、他人の人生であるのに自分の人生の一部のような気持ちになる。自分の中に眠っていた大切な感情を思い出させてくれる、そんな力のある映画です。
家族の物語度 |
★★★★☆
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吉沢亮の新境地度 |
★★★★☆
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背中の哀愁度 |
★★★★★
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監督
呉美保
脚本
港岳彦
出演
吉沢亮
忍足亜希子
今井彰人
ユースケ・サンタマリア
烏丸せつこ
でんでん
配給
ギャガ
9月20日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
Ⓒ五十嵐大/幻冬舎
Ⓒ2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
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