CULTURE
アニマライズする奇病と家族愛を描く『動物界』
『動物界』
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人間が動物化する──という奇病が蔓延する世界、想像できるでしょうか。
感染症が世界的規模で流行する=パンデミックを題材にした映画は、『アウトブレイク』や『コンテイジョン』、『パーフェクト・センス』、『28日後...』など、これまでにも数多く作られてきました。
フランス=ベルギー合作の『動物界』も謎のウイルスが蔓延する近未来が描かれますが、感染によって死に至るというものではなく、感染によって人間がさまざまな動物に変異する奇病であること、それがこの映画の特徴です。
劇中には鳥、カメレオン、タコ、セイウチほか、多種多様な動物と人間のハイブリッド=“新生物”が登場します。
主人公はフランソワとエミールの親子。妻であり母親でもあるラナが感染し、“新生物”として認定されたことで、ラナはフランス政府によって隔離されることになります。
妻を心から愛するフランソワは、ラナが隔離される南仏に息子エミールと一緒に移り住むことにしますが、移送途中でバスが事故に遭い、多くの新生物が行方不明に。自力でラナを探し続けるフランソワでしたが、エミールの体にも変化が現れて……。
人間が動物の容姿になるという設定は、たとえば月を見ると狼に変身する狼男、突然変異した遺伝子を持つミュータントなど、ダークファンタジーもあります。この『動物界』で描かれるのは、ウイルスによって誰もが動物化する可能性があるということ。そこが怖くもあり新しい視点でもあります。
ある日、自分の歯や爪が獣のような鋭いものに変わったら?体が動物のように毛むくじゃらになったら?姿形が変わってしまうことで、世間の目は、愛情は、どう変化するのか。人間と新生物との対立と共生という問題も提起しています。そして、愛する人を本当の意味で受け入れるとはどういうことなのかも──。
動物化というショッキングな設定でありつつも、そこから考えさせられるのは、とても普遍的なこと、とても大切なこと。また、現代社会で生きづらさを感じている人にとっては、解放と受け取ることもできる、そんなメッセージも込められています。
ユニーク度 |
★★★★☆
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親子愛度 |
★★★★☆
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特殊メイク度 |
★★★★★
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監督
トマ・カイエ
出演
ロマン・デュリス
ポール・キルシェ
アデル・エグザルコプロス
トム・メルシエ
ビリー・ブラン
配給
キノフィルムズ
11月8日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽 町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開
Ⓒ2023 NORD-OUEST FILMS-STUDIOCANAL-FRANCE 2 CINÉMA-ARTÉMIS PRODUCTIONS.
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