CULTURE
仕事と感情、自分だったらどちらを選ぶ?『けものがいる』
『けものがいる』
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いまや当たり前に、日々の生活の中にAI(人工知能)は浸透していて、かつて映画の中で近未来として描かれていた世界が現実になりつつある。私たちが生きている世界は、そういう世界です。
フランス=カナダ合作映画『けものがいる』は、フランスの鬼才ベルトラン・ボネロが監督、レア・セドゥとジョージ・マッケイが主演、グザヴィエ・ドランが共同プロデューサーと声の出演、第80回ヴェネチア国際映画祭で大きな反響を呼んだ作品です。
2044年の近未来を起点に、主人公のガブリエルが1910年と2014年、3つの時代を行き来する物語。行き来するというのは、タイムトラベル的なものではなく、AIによる前世の再訪問です。それは一体どういうことなのか──。
この映画の中で描かれる2044年のパリは、AIが国家の社会システム全般を管理し、人間の感情が不要と見なされている世界、感情を消去した人間だけが重要な仕事を得られる世界です。ガブリエルは有意義な職に就きたいと望んでいますが、叶えるためにはDNAの浄化によって〈感情の消去〉をするセッションを受けなくてはならないのです。
1910年と2014年の前世に遡り、それぞれの時代でルイという青年と出会い、激しく惹かれ合う。「感情か仕事か?」という選択をするための、前世の再訪問する旅であるのに、そこに運命のように惹かれ合う存在も絡んでくる。さらに3つの時代を行き来するので、おそらく思考はぐちゃぐちゃになります。
難解なパズルのようでもあって、ぜんぜん理解できない……となるかもしれないけれど、2044年のガブリエルが「感情か仕事か?」その答えを出すための物語であることが頭にあれば、自然と点と点はつながり、難解にみえたパズルもやがて完成する。そして、観客にも感情か仕事か? そもそも感情とは何か? を突き付けてくる。なかなか強烈なラストが待っています。
ロマンス度 |
★★★☆☆
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スリラー度 |
★★★☆☆
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ディストピア度 |
★★★★☆
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監督・脚本
ベルトラン・ボネロ
出演
レア・セドゥ
ジョージ・マッケイ
ガスラジー・マランダ
グザヴィエ・ドラン(声)
配給
セテラ・インターナショナル
2025年4月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
ⒸCarole Bethuel
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