CULTURE
2017.01.21
2012年03月号掲載 ED_LETTER vol.45『my own way』
my own way
現役時代から「オレ流」なんて言われ方をしてきた落合監督。プロ野球という彼の職業においても、今僕がこうやって原稿を書いてるような職業においてもそうだけど、そもそもオレ流じゃない方法論って何なんだろう? と就職するずっと前から不思議に思ってた。1982年に彼が史上最年少で三冠王(ホームラン王・打点王・首位打者)を獲得した時、当時中学3年生だった僕は、この「オレ流」という形容詞 (といってもマスコミが付けた言葉だけど)に、やけに惹かれたことを憶えてる。
勉強においてもスポーツにおいても遊びにおいても、とにかく人と同じやり方がどうしても嫌で、天邪鬼のごとくわざわざ人と違うことをしてみたり。その裏には、どんなことでも自然と自分のやり方でできちゃってるようなやつが心の底から羨ましくて、僕自身は何一つ自分で考えて行動できてないんじゃないかっていう、へんな劣等感満載の自分がいたりして。だから、人と同じことを同じ方法でやるのではなく、自分スタイルでなんでもやってるように “見せかける” ことに必死で......。むしろ、その完璧に見せかけた 自分こそが、最大のセルフプロデュースだったり。小さい頃兄にくっついてばかりで、兄のやることなすこと真似るのが楽しくて、でも、そんな僕を見て親も親戚も「まねしい」って呼ぶもんだから、物心ついた頃には「真似する」と言われることに対してものすごく嫌悪感が芽生えちゃったもんだから、そんなまわりくどいことばっかりに気を取られちゃったり......。
今思えば、子供が年上の真似をするのは当たり前のことなのに、僕があまりにも “徹底的に” 真似するもんだから、そんなふうに言われたのかな? なんて思ってみたり。落合監督は「オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である。大切なのは誰が最初に行ったかではなく、誰がその方法で成功を収めたかだ」と言っている。成功することに対する“初”には、もちろん大きな意味があるけど、最初は人の真似だろうがなんだろうが、誰かが何かを成し遂げた時、それこそが正真正銘の「オレ流」なんだな、と。
結果が出た時、スタートはどうあれそれはすべて「オレ流」。それは、誰に対しても通用する相対的な方法論ではなく、自分自身が成し遂げた、自分に対してだけの絶対的な方法論でしかないわけだから。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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