CULTURE
2018.05.12
2014年1月号掲載 ED_LETTER vol.110『(the)truth』
(the)truth
闇は虚無、闇は透明、闇は宇宙、闇は、真実。僕達は闇のなかで生きている。光が満ち溢れているのは、ごく一部分。光の中で僕達はあらゆる経験をし、闇の中であらゆる成長をする。昼間にたくさん遊び、夜寝る子は育つ。木や草花が土の中から栄養を採り、光と光合成をして成長する、ように。
闇こそが物事すべての本質で、闇は宇宙そのもの。老子いわく、万物の根源・本体ははかりがたく無である、と。
闇が不可視なものに対し、影は可視なもの。月は影でその形を変え、闇が月を存在させる。影は光の対象として常に必要な存在である。それに対し闇は、必要とか不必要とか、そういう概念のものではなく、それそのものが存在である。
この世界では、道徳的、倫理的、哲学的、生物学的、宗教的にも、闇は広義で悪の象徴のように表現されることが多い。でも、そもそも不可視な存在を悪と定義するのは、正しくない。全ての宇宙はもちろん、地球上でも、人間を含めたすべての生物の心はすべて不可視=闇である。闇を信じる、ということではなく、闇の存在を理解し、感じ、受け入れる。見えないものを見ようとするから、見えずに不安になり、不安になるから、見えないものを悪と定義して安心しようとする。見えないものは、見えない。闇は暗黒ではなく、 虚無、透明だから、そもそも光で照らすことなどできない。
心の闇は、言い換えれば心の真実。真実と向き合わなければ、心は悪と定義されてしまう。心にある影は、光で照らそうとするのではなく、光は光として、影は影としての役割があると認識する。だからこそ、小さな尊い光を大切にしていきたい。そして、その光によってできる美しい影を大切にしていきたい。一瞬一瞬の尊い光=大切な経験を確実に繋ぎあわせて、闇の中で僕達は少しずつ進んでいく、その繰り返し。 たくさんの光を独り占めすることはできないから、分かち合いながら、成長し進んでいく。
闇=真実を受け入れること。僕達の魂は、真実の闇の中に存在するのだから......。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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flashback memory 2014_01 ・ギョーザ日本一、宇都宮市が3年ぶりに返り咲き 1世帯あたりの年間購入額は4919円。 ・ノルディックスキージャンプW杯・個人第13戦 葛西紀明選手が41歳7か月でW杯最年長優勝。 ・トヨタ自動車、2013年の世界生産台数1011万台達成 1000万台超えは世界初。 | |