CULTURE
2017.04.08
2014年04月号掲載 ED_LETTER vol.56『reunion』
reunion
これ、この時代だからとかいう、そんなオチだったりもするんだけど。あまりにも世の中が複雑多様化して情報が自動的にインプットされちゃうもんだから、世界中どこに行って誰に会っても、なんとなくSNS上などで知ってるどこか誰かの価値観と、限りなく近い価値観にすぐシンクロしちゃう。で、あれ!? どこかで会ったかな、って。
サブリミナル的に洗脳されたどこか誰かの価値観を、あたかも自分の価値観のように垂れ流す“もどき族”が世界中に溢れかえって、さらにその“もどき族”がそこらじゅうでリミックスされまくって、もはや「あなた誰ですか?」と言いたくなるような価値観を持った人達が、街のあちこちでスタバを飲んで音楽を聴 いて本を読んでスマホをいじって、またそこでさらにリミックスされた価値観を発信する、そんな“もどき族”のアメーバ的増殖。
だけど、心の奥底から自然と湧き出るものだけは、世界中の誰の価値観ともシンクロしない。“もどき族”なんてネガティヴに括っちゃったけど、本当は族なんかじゃなくて、みんなひとりひとりの素敵な個性の集まり。ただちょっと、自分のオリジナルな感性と向き合うのが怖かったり、知らない誰かの価値観に触れすぎてつい背伸びしたくなっちゃったりするから、ついつい“もどき族”になりすまして、少し自分が高尚な人種になれた気がして世が明けちゃう、ミスチル症候群みたいな感じ。
もっと自分の感性に向き合って、自分の個性を愛して、瞬間的に湧いてくる感情に、感覚に、感動に素直になって。前号から言いたいことは同じだけど、それを誰かと共感して、そして誰かに共有する。そんな素直な行動が、またどこか誰かの感動を生み出していく。回り回り回り回って、今僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく、そんなミスチル症候群的な幸せが、豊かな社会を作っていくわけで......。
初めて会った人に、オリジナルな価値観に、新鮮な感動を覚える。その先には、本当の意味でのあたたかな“再会”が、きっとある。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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