CULTURE
2016.06.04
2014年08月号掲載 ED_LETTER vol.14
future vibes
過去のことにあまり興味はないけど、心の中はものすごくリアルだから、体中の遺伝子が震えるくらい瞑想する。時間と感情の距離を測ってみ る。僕は物心ついてから、70s、80s、90s、00s を生きてきた(そう書くと、なんかすごいな)。今、ファッションやカルチャーのトレンドとして、その年代ごとのリバイバルを目にしない日はない。
リバイバル? と、いつも疑問に思う。18世紀欧米におけるキリスト教のリバイバリズムにみる、熱狂的な集団的大覚醒を引き起こすような強 大なパワーは、特に先進国において、今の時代背景では到底生まれないだろう。
にもかかわらず、ここのところ毎シーズンのように、あたかも新たな発見をしたかのようにリバイバルが叫ばれ、よもやリバイバルのリバイバル、といったものも世の中に溢れかえってる。ファッションも音楽もアートも、 じゃあトレンドって何? と考えながらいつも迷宮入りしてしまう。リミックスのリミックス、サンプリングのサンプリング、フェイクのフェイク。 ん? フェイクのリバイバルのサンプリングのリミックス......なんか、新しいんじゃないかって錯覚してくる。
ならば、と最近思う。目に見えるもの、耳に聞こえるもの、手に触れるもの、ではなく、感情が揺さぶられるもの。いろんなジャンルの物事に、 必ずそういうものはある。昔を思い出していたのは、そんな感情の動き を呼び起こして再確認するため。その感情は、今でも変わらずリアルなものでリバイバルではない。その時代のヴァイブスを作り上げたのは、間違いなく人の感情からくるもので。
今は、瞬時に情報の共有が行なわれ、世界中でサンプリングされリミッ クスされる。それと共に、時代感としてのヴァイブスは、10s、20sとこれからさらに弱まっていくだろう。でも、人の感情は、昔も今も、もちろん未来も、何も変わらない強さとリアルさがそこにある。おそらく、時間 と感情との距離感が、時代によって少しずつ変化しているだけ......。
さて、そろそろ未来の話をしようか。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
follow him!
Instagram togawatakashi
snapchat togawatakashi
flashback memory 2014_08 ・ふくらはぎくらいの長さ、ミモレ丈のスカートがトレンドに ・芸能人の真似をした“ものまねメイク”が流 ・木村拓哉主演ドラマ「HERO」が高視聴率を獲得 | |
NYLON JAPAN no.73 |