CULTURE
2018.02.03
2015年01月号掲載 ED_LETTER vol.98『frog』
frog
カエルは、世界中に約5800種が存在している。両生類で、そのほとんどが水辺でゆったりのんびり暮らし。生まれた時はおたまじゃくしと呼ばれ、えら呼吸を行い、ヒレの付いた尾で水中を泳ぐ。成長すると変態を始め、後ろ足が出て、前足が出て、尾がなくなり、肺呼吸を行うようになり、水中と陸の上を自由気ままに行き交うカエルとなる。
カエルはまた、「福帰る」と言われるように古くから縁起の良い生き物とされ、子供をたくさん産むことから子孫繁栄や、「無事帰る」「お金が返る」「若返る」など、語呂合わせでも「交通安全・ 家内安全」「金運・商売繁盛」「長寿祈願」など、縁起担ぎにも度々用いられたり。
僕のなかでのカエルと言えば、子供の頃大好きだったテレビアニメの『ど根性ガエル』。主人公ひろしのように、Tシャツにピョン吉がいたら楽しいだろうなあ、と思って、ひろしのようにカエルの上に覆い被さってお腹で潰してみたり(死んでません)。
それから、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングの夢判断の一部を引用すると、「蛙は水と大地の間を往復する生物である。蛙は水と陸の間を自由に飛びかうように、無意識の中で何かが形をつくりかかっていて、未知の可能性や、新しい自分への洞察が生まれようとしている。 蛙はまた、おたまじゃくしから姿を変えて蛙になるので、創造と再生にかかわる生物であり、新しい世界や環境を開くものである。蛙の夢は、先に述べたように、新しいものの誕生、新たな意識の目覚め、自我の確立などが近いことを示す希望に満ちたものと考えられる」と。
ま、何にしろなんだかワクワクする変わった生き物だな、と最近愛着が。
話は変わるけど、うちの会社名は「カエルム」。旧約聖書で、この世の始まりについて語った『創世記』第一章のはじめに、「In principio creavit Deus caelum et terram」(イン・プリンキピオー・クレアーウィット・デウス・カエルム・エト・テッラム)と、“CAELUM”というラテン語が使われている。それは、「はじめに神は天と地とを創造された」と訳されるように、“空・大気・天” などを意味する。空高く、天高く羽ばたいてほしい、という気持ちを込めて付けた名前で、深層の意味では、大地に芽生えた緑が天高く昇っていくイメージのロゴでもあるんだけど、“カエルム”は日本人にあまり馴染みのない言葉でもあるので、二義的にあえてキャッチーに“カエル”を連想させるようなロゴマークにしてみたり。でも、カエルにも素敵な意味がたくさんあるんだなあ、と思うようになってから、そろそろカエルのようにピョンピョンと、天高く飛んで行けるような気がしてきたりして……。
荘子の有名な言葉に、「井の中の蛙(かはづ)、大海(たいかい)を知らず」 というのがある。狭い世界に閉じこもって、もっと広い世界があることを知らず、狭い見識にとらわれて大局的な判断ができない、というようなことにならないよう、肝に銘じなきゃ。
さ、今から、カエル、ム? 80年代のNTT広告「カエルコール」のパクリだけど……。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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