CULTURE
2018.01.20
2017年11月号掲載 ED_LETTER vol.96『I LOVE NYLON』
I LOVE NYLON
『NYLON』に出会ったのは、子供の頃からずっと夢見てた、リニアモーターカーが日本中を走り回ってる(と信じてた) “21世紀”直前の1999年。PRINCEが1982年に発表したアルバム『1999』を聴きながら、アインシュタインの予言する世紀末が訪れ人類が滅亡する(とは信じてなかった) 瞬間ってどんなだろう、と徒然なる日々を送ってたある夏の日に、青山の小さな洋書屋さんで『NYLON』が放つ独特のアーティなカバーを目の当たりにして、先が見えなくなっていた雑誌への希望が、その瞬間再燃した。
雑誌の仕事を始めて10年目を迎えようとしてた頃、次に進もうとぼんやり決意して、新しいクリエイティヴやカルチャーをイメージしながら、その翌々年に会社を設立し、ロンドンのカルチャー誌『DAZED&CONFUSED』の日本版を作るためロンドンに向かった。その創刊準備でロンドンに滞在してた時、頭ん中の妄想成功イメージから、ロンドンの次はニューヨークだ、と根拠なく思い描き、ピカデリーサーカスのHMVで買った『NYLON』を見て、即『NYLON』のニューヨークオフィスに電話を入れた。いみじくも、ニューヨーク+ロンドンを意味する“NY+LON”。当時の編集長、Marvin Scott Jarrettと繋がり、近々東京に来るというので会うことを約束。新宿パークハイアットの展望ラウンジで、日本版創刊の話が弾んだ。翌2003年夏に『NYLON JAPAN』プレミアムイシューを発売、2004年春に本創刊し、現在に至る。
その『NYLON』US版が10月号を持って雑誌を廃止し、デジタルメディアの更なるパワーアップと共に、新たなファッション&カルチャーコンテンツを提供していくことに。今後は、日本、韓国、タイ、インドネシア、シンガポール、メキシコ、ドイツをはじめ、新たに展開する予定のある世界各国との密なコミュニケーションによる、デジタルコンテンツ&クリエイティヴの強化が行われる。
『NYLON JAPAN』は、もちろん今まで通り雑誌をフラッグシップとして継続しつつ、さらにパワーアップさせていくデジタルメディア、SNS、イベント、商品開発、クリエイティヴスタジオなどを通じ、より豊かでオルタナティヴなガールズコミュニティを創造していく。その“COMMUNITY” にいることで、自分自身を、毎日の生活を、今よりもちょっとでも豊かにできるような、そんな居心地のいい場所を提供していきたい。そして、いづれ卒業していくであろうその場所が、あたたかい想い出として、皆さんのなかの隅っこに居続けられることが、『NYLON JAPAN』として望んでいる形だと思っている。
昨今のライフスタイルの変化のなかで、雑誌の新たな側面や本質にも気づくことができてきたし、いよいよ本当の面白さが見えてきた。当然、昔のように簡単には雑誌は読まれないし、同じような作り方、売り方ではユーザーへ価値を提供することもてできない。読者の皆さんが何を求めているのか、何にドキドキしワクワクしているのか。改めて今、とてもシンプルなその答えを、自分自身に問いかけ続けている。そして、“雑誌を買う”というのは、どういうことなのか。雑誌を買うことで、読者の皆さんは何を得ているのか。
最後に、未来へのキーワードは“ART”。これしかない。アーティな『NYLON』を初めて見た時の高揚感は、僕のなかでいつまでも薄れることはない。そして、新しい形で、その時に感じた高揚感を、新たな世代にいつまでも届けていきたい。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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