CULTURE
2018.11.10
2018年11月号掲載 ED_LETTER vol.133『MINDSET』
MINDSET
限界を超えてはいけない。
フリーダイビング競技において世界記録を樹立し、ライバル達と抜きつ抜かれつつ、常に世界トップを争うフリーダイバー、木下紗佑里さんとHANAKOさんのお話を伺う機会があった。フリーダイビングの世界は、30年ほど前の映画『グラン・ブルー』でジャック・マイヨールとエンゾ・マイオルカという偉大なフリーダイバー達を知って以来、久しぶりにその限りなく美しい映像と、フリーダイバー達のあくなきチャレンジスピリッツに感動した。
“自分の限界を超える”というフレーズは、スポーツの世界だけではなく、僕達のようにいろんな仕事に従事する人達からもよく聞く言葉。一見、とてもいい言葉に思えるけど、フリーダイビングという競技において、自分の限界を超えてしまうと、命に関わる危険性がある。同じように僕達の世界でも、限界を超えると、重大なミスに繋がる可能性がある。冒頭の言葉を彼女達から聞いた時、ハッとした。
別の角度から言えば、それは自分の実力を正確に把握できていない、ということになる。自分の実力やレベルを認識しないまま進むと、いろんな重大な問題が起こり得る。今現在、自分にできることを知り、それを確実に実践していく。スポーツの世界でも僕達の世界でも、己を知り、仮説を立て、実践し、検証する。その繰り返し。そして、少しでも前に進むために、練習もするし勉強もする。
要するに己を知らないと、何かにつまづいてしまった時、原因もわからず、これ以上できないと自分で自分を止めてしまって、自分自身に対する固定観念が生まれてしまう。そうするともう、前に進めなくなる。限界を知ることで、努力が生まれ、前に進む。だからこそ、己を知り、限界を超えてはいけない。
己を知る、ということがいかに大切なことか。
世界的フリーダイバー達の言葉で、自分のなかに芽生えつつあった自分自身に対する固定観念が、少しずつ溶け始めた気がする。
ナイロン ジャパン編集長 戸川貴詞
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