CULTURE
2016.06.19
focus on N-bloggers Vol.2 平 真悠子
Q. 出身や家族の事、学生時代のことから、今のお仕事のことまで、詳しいプロフィールを教えて。
北海道の釧路出身。先天性の聴覚障害をもって生まれる。
港町に生まれ育ち、8~18歳まで海洋少年団で活動し海上保安官を目指していました。海上保安学校の身体基準の聴覚の部分が受験資格に満たなく夢を諦め、20代になってから服飾学生として再スタート。メンズ、レディースの2件のセレクトショップに勤めた後、現在は札幌でグラフィックデザイナーとして活動しています。
Q.今の仕事を始めたきっかけは?
服飾学生を経て、ヨーロッパカジュアル、NYストリートを取り扱ったメンズセレクトショップに就職し、その後NY、LAのブランドを取り扱ったレディースセレクトショップへ勤めてきました。全聾という最も重い先天性の聴覚障害を抱えていたため、接客が困難な部分もあり、WEBショップやショップカードなどのデザインをメインに担当し、店頭に立ちながらもデザインの仕事をしていました。
退職後、その経験を生かしてデザインを本格的に勉強するようになったのがきっかけです。
Q. NYLONブロガーになろうと思ったのは何故?
レディースのショップで働いている時、スタッフ全員が愛読していて常にお店の中にNYLONの雑誌があり、それがNYLONとの出会いでした。ショップスタッフ時代からブロガーというものを気になってはいたのですが 20代が終わろうとする1ヶ月前のある日、募集を目にして20代最後に挑戦してみたいと思い、応募したのがきっかけです。また障害を持っているのと、年齢も重ねているのもあり、これまでの経験や想いを発信したいという気持ちもありました。
Q. ファッションや仕事のインスピレーション源は?
海外といった旅先の大きいスケールの中でももちろんですが、毎日の見落としがちな何気ない日常の中に落ちているものを大切に拾おうと心掛けています。 新しいものをインプットしやすいように、日常の小さな悩みや気になることまで頭の中にあるものをノートに出来るだけ全て書き記し、頭の中をクリアにするようにしています。
Q. 数ある趣味の中で、今1番はまっている物は?
スケートボード。
大人になるとなかなか恐怖を味わう機会が少なくなる中、スケートは新たなトリックへ挑戦する度に恐怖や刺激があり、勇気やメンタル面が自然と鍛えられます。海外に行く時は必ずデッキも持っていくのですが、現地のスケーターや子供たちと触れ合えることが多く、色んな人との出会いをもたらしてくれたりとスケートは旅にも欠かせないものとなっています。
Q. 東京と札幌のファッションの違いについて感じることは?
札幌はスケーターからアーティストチーム、個人まで広い範囲の人たちがオリジナルの刺繍キャップやTシャツを作る方が多く、自分達のオリジナルを愛している人達が沢山。個人のオリジナルデザインのものが札幌だけではなく東京まで人気が広がる人も。 友人の中には東京から札幌へ来たファッションデザイナーもおり、場所にこだわらず札幌から発信していきたいという強い情熱を持った人が多いです。
Q. 札幌で一番のお気に入りの場所と、その理由を教えて
お気に入りの場所は沢山あって1番を決めるのは難しいけれど、場所というより、会いたい人に会いに友人たちのお店を回ることが多いです。1番良く行く場所は友人がやっている円山裏参道にあるand coffeeというカフェ。自然と友人や知り合いが集まってくる場所で夜中まで語り合うことも。週末の夜は高確率で私に会えます。
Q. これまでの人生で最も悩んだことは? それをどうやって乗り越えた?
小学生から海上保安官を目指していたものの、聴覚障害で身体基準の受験資格に満たなく高校卒業後、しばらくやりたい事が見つからないばかりが障害を抱えているということで仕事も断られ続け、フリーターだった数年が1番辛かったです。
そんな中、好きだったものの1つファッションが心を癒してくれてこれを仕事に出来たらと思うようになり服飾学生として再スタートしました。
障害を抱えている人は仕事が限られているという風潮、ショップスタッフは絶望的だとも言う人もいましたが、どんな人でも、先入観や世間の常識にとらわれずに情熱を持って行動していって欲しいと思います。憧れていたセレクトショップへ就職することが叶ったという体験が、どんどんやりたい事を形にしていきたいという今の原動力に繋がっています。
Q. ブロガーとして、グラフィックデザイナーとして、それぞれの今後の目標は?
現在、ASL(アメリカ手話)を勉強しはじめたので、海外の手話という1つのコミュニケーション手段を手に入れて、自分の世界をどんどん広げて沢山の人やものに出会いたいと考えています。
日本語での会話も難しい私は、英会話は敬遠していたのですが、やる前から諦めるよりも、出来るだけ模索していきたいと思いました。 行動範囲や視野を世界へ更に広げて自分というものをもっと確立して ブロガーとしてもデザイナーとしても成長出来たらと思っています。
Q. NYLONブロガーになりたい女の子にアドバイスを一言。
年齢、住んでいる場所、様々なこと関係なく、自分らしさに自信を持って、もし迷ったのなら、行動しないより行動する方を選んで欲しいです。
情熱と行動力は人生を大きく変える力があると思っています。
design chinatsu ikarashi
edit sho ikoma