数々の大物プロデューサーから賞賛され、若手DJとして世界を魅了するポーター・ロビンソン。日本のオタク文化にも馴染みのある彼が、アニメーションを使った新作ミュージックビデオ『SHELTER』のローンチを記念して来日。音楽、映像、言葉、様々なアプローチで自分の世界観を確立させる彼の視点から見た日本とは?
日本にはよく来ますか?
うん、14…いや、15回目です。今回ローンチした『SHELTER』のMVは日本のクリエイターとコラボレーションしているので、2年前から仕事でも来ています。
日本に興味を持ったキッカケを教えてください。
12歳の時に兄がダンスダンスレボリューションを買ってきたんです。実はこれが僕とエレクトロミュージックの出会いでもあるんですけど、ゲームをプレイして音楽が流れてきた時には衝撃を受けました。日本にはこんな音楽があるのかって。それから自分でも電子音楽を作るようになって。
好きな日本人ミュージシャンはいますか?
最近だとサカナクションが好きです。あとは高木正和。彼は電子音楽家であると同時に映像作家でもあるので、尊敬しています。他には...知っての通りアニソンかな(笑)。ClariSのファンなんだ。
日本の顔文字からインスパイアされたというシンボルマーク
(【=◈︿◈=】)には、どんな意味が込められていますか?
シンプルだけどミステリアスなヴィジュアルにしたかったんだ。可愛いけど可愛過ぎなくて、少し悲しそうにも見える。顔文字をロゴにしようと思ったのは、自分がSNS世代だからこそのアイデアだと思うんですけど、もしロゴがテキストで作られていたら、TwitterやFacebook上にファンがロゴを載せられると思って。以前、アルバムをリリースした時にはTwitter上のファンが名前を顔文字に変えたりしてくれたんですよ。他のアーティストは自分のロゴをテキストで表すことが出来ないので、面白いことだと思っています。
最近、気になっている日本カルチャーはありますか?
そうですね、ミュージックゲームとアニメはもちろん好きだし、ストリートファッションもサブカルチャーのひとつだと思っています。それもかなり僕にとって重要な要素なので。
日本のストリートファッションについてはどのような印象がありますか?
日本のファッションは本当にユニークだと思います。アメリカでの一般的な印象だと、いわゆる原宿系のようなデコラティブなイメージが強いんですけど、他にもたくさんのファッションスタイルが日本にはあります。NYやパリのシーンも面白いんですけど、インスピレーショナルなのは東京がダントツ。NYやパリの人達は、いかにクールに見せるかを意識したファッションにトライするのでシンプルになるんですけど、東京のストリートにはもっと表現力があって実験的なのでワイルドだと感じます。
最近ハマっているファッションスタイルは?
カジュアルなコーディネイトが多いです。2年前くらいはハイファッションに夢中で、リックオーウェンやラフシモンズとか買っていました。最近はファストファッションの方がポピュラーになっているので、あまりファッションに興味を持てなくて...次のインスピレーションになるスタイルを探している感じです。何か新しいファッションが現れないかなって。
好きな日本ブランドはありますか?
もちろん。ラッドミュージシャンは音楽との関連もあるカルチャー的な部分を持っていて好きです。あとはもっとエクスペリメンタルなブランドになるんですけど、chloma。テクノロジカルでフューチャリスティックでダークでサッド、ひと言では表すことのできない美しい世界を表現していると思います。
以前、日本のファッションブランドからコラボアイテムを発売されていましたが、
今後日本でチャレンジしたいことはありますか?
自然が好きなので、北海道にある富良野・美瑛という花畑に行きたいです。全面がレインボーになっていて、とても美しいんです。
ライブやミュージックビデオでは、リアルとアンリアルという
両極端な要素をミックスさせた世界観を作り上げていますね。
そう、世界で一番興味のあることです。現実だけどどこかリアリティーに欠けている、そんな世界に住みたいと思っていて。だからVRの出現やリアリティについて考えることは、いつでもワクワクします。これからどんどん変わった実験をしていきたいです。今、一番の願いですね。
11月にあるLAでのライブツアーでは、どんなアプローチを考えていますか?
LAでは3つの大きなヴェニューでライブします。ナーバスだけど、とても楽しみです。今回のショーではフランスのミュージシャンのマデオンと一緒にライブします。僕のショーには2スタイルあって、ソロの時はアニメやファンタジーぽいヴィジュアルを使うんですけど、マデオンとのショーでは、もっとシンプルな映像を使ってロックなライブをします。
ミュージシャンとして今後チャレンジしたいことはありますか?
今までは低音を使ったダブ系の音楽を作っていたんだけど、もっとソフトでピュアなサウンドを作りたいです。ライブを始めた当初は、小さなクラブでEDMの音楽を演奏していたんですけど、そのスタイルに飽きてしまって。エモーショナルでセンチメンタルな表現を勉強しているところです。ライブでもDJはせずに歌ったり、キーボードを弾いたり、ドラムを入れたりしていて。様々なスタイルにチャレンジしたいです。
チェック柄ブルゾン elephant tribe fabric ¥25,920(BOY/ボーイ)、その他 本人私物
MODEL: PORTER ROBINSON
PHOTOGRAPHY: YUYA SHIMAHARA
DESIGN: CHINATSU IKARASHI
EDIT: SAKI YAMADA