CULTURE
2015.01.28
死神に出会ったPanda Bearが見たものとは?
Panda BearことNoah Lennoxが2007年にリリースした名作『Person Pitch』は、サイケデリックな箱庭ドリーム・ポップ=「チルウェイヴ」と呼ばれるムーヴメントの先駆けとなった作品。そして、彼が所属するAnimal Collectiveというバンドは、2000年代のインディ・ミュージックを象徴するバンドの一組でもある。Animal CollectiveとPanda Bearなくして、2000年代インディの隆盛はあり得なかった。そう言ったって間違いじゃない。 『Panda Bear Meets The Grim Reaper』は、Panda Bearにとって4年ぶりのソロ・アルバム。「Panda Bear、死神と出会う」というタイトルには、ちょっとばかりギョッとさせられるかもしれない。でも、本人曰く、これは「変化を受け入れる」という意味なんだとか。なるほど、確かに誰かの死を受け入れることとは変化を受け入れることだし、反対に新しい命の誕生を祝福することも変化を受け入れることだと言える。父親との死別を経験し、今や二人の子供を持つパパでもあるPanda Bearにとって、こういったテーマのレコードを作るのは自然なことだったのかも。 本作は、悪酔いするようなグラグラしたビートと、天から降り注ぐように荘厳で美しいメロディが混ざり合っていて、いかにもPanda Bearらしいサウンド。でも、アルバム前半はどこか不穏な空気の曲が多い一方で、エンディングが近づくにつれ、雲の隙間から光が漏れてくるかのようにオプティミスティックな雰囲気が強まっていくのが印象的。Panda Bearにとって「死神と出会う」こととは、どういうことなのか? このアルバムを聴きながら想像してみるのもいいかもしれない。 Little Brother / Whatever You Say 最新作ではサンプリング重視の音作りに回帰したPanda Bearが、音の構築の仕方で刺激を受けたというのが、このヒップホップ・ユニット。 Augustus Pablo / King Tubby Meets Rockers Uptown 「~meets~」というアルバム・タイトルは、Panda Bearが好きなダブの作品でよく使われていることへのオマージュでもある。 Daft Punk / Doin' it Right ft. Panda Bear 新旧様々な豪華ゲストが参加したDaft Punk『Random Access Memories』にもPanda Bearは参加。 |
Panda Bear -『Panda Bear Meets the Grim Reaper』 ¥2,371(税抜) ※初回仕様限定盤のみボーナストラック・ダウンロードコード付ステッカー封入 発売中 tracklist Disc 1 01. Sequential Circuits 02. Mr Noah 03. Davy Jones’ Locker 04. Crosswords 05. Butcher Baker Candlestick Maker 06. Boys Latin 07. Come To Your Senses 08. Tropic Of Cancer 09. Shadow Of The Colossus 10. Lonely Wanderer 11. Principe Real 12. Selfish Gene 13. Acid Wash Disk 2 (Mr Noah EP) 01. Mr Noah 02. Faces In The Crowd 03. Untying The Knot 04. This Side Of Paradise |
text yoshiharu kobayashi / the sign magazine