CULTURE
2021.05.28
大坂なおみのスピリットを表現! NIKEデザイナー2人にスペシャルインタビュー
NIKEデザイナー2人にスペシャルインタビュー
NIKEより、前回大好評を博した大坂なおみとタッグを組んだ『ナイキコート 大坂なおみ コレクション』第2弾が6月17日にローンチ。
彼女のアイデンティティから生み出されるアパレルが持つ多様性を表現したアイテムがラインアップ。
発売にあたり、大坂なおみと共に本コレクションを実現させたターニャ・フリンとカーリー・エリスの2人にインタビューを敢行! コレクションの魅力や大坂なおみとの制作秘話を話してくれたよ。
Nike Senior Apparel Designer,
and design partner to Naomi Osaka
Nike VP of Women’s Apparel Design
ターニャ·フリン(以下、ターニャ) なおみさんはやはりナイキにとって魅力的な方だと思います。多面的な世代を代表するアスリートであり、ロールモデルであり、本当に自分の発言力を生かして世界を良くしていこうとされています。もちろん女性としても素晴らしいですし、一つの枠にハマるような人でもないです。今回のコレクションもそうした彼女の多様性を反映したものになっています。
カーリー·エリス(以下、カーリー) このコレクションは本当に素晴らしい反響だと思っています。ファーストコレクションではすぐに売り切れてしまったものもありますし、簡単に手に入らないものもありました。同時になおみさんがそれに対して本当に誇りに思ってくれて、ソーシャルメディアでも何回もポストしてくれたり、ファンが投稿した写真をたくさん載せてくれたり。あと、エキシビジョンのときに着てくれたりと、本当に喜んでくれたと思っています。
カーリー 一部の要素は本当にシグニシャーらしいところ。なおみさんらしい要素が見られるかと思います。黒、白、オレンジの色は彼女の好きな色ですし、今回のコレクションでも使われている。また、このコレクションはなおみさんと一緒に成長していっていると思います。やはり、自信を持つようになってからすごくいろんな視点を持ち、冒険心を持つようになってきたから、いろんなファッションの要素がコレクション内に見られるかと思います。この“NO”のロゴはずっとキープしていきますが、ラッキー·キャットのように遊び心を活かしたサプライズ要素をなおみさんがみんなを驚かせてくれると思います。そういうことはこれからのコレクションでもやっていきたいと思いますし、やはりなおみさんの変化によって皆さんを驚かせるようなコレクションをつくっていきたいなと思います。
カーリー “NO”のロゴや“ラッキーキャット”ですね。これはやめたくないと、絶対に続けてほしいということで入れています。“NO”のロゴはなおみさんにとって意味のあることで続けています。オプションや他の選択肢も提供したんですが、 “NO”が好きだからいろんなものにつけてるそうで、iPadにも電話にもつけてるし、すごく喜んでいるということを聞いたので、これは本当になおみさんらしいコレクションにするためには必要だなと思いました。あと、やはり多様な組み合わせができるということですね。なおみさんも常に進化していますし、ファッションではInstagramでスタイリングレッスンをやっていたり、いろんなスタイルでみんな驚かせたり、いろいろと挑戦しています。なおみさんがファッションにかけている思いや、服を着ること、魅せることを楽しんでるところも反映させたいなと思いました。
カーリー 私たちのコンセプトは、「ゼナジー」と呼んでいるのですが、“ゼン”と“エネルギー”をミックスした“ゼナジー”。それは対極的なコンセプトをミックスするというところで、なおみさんといろんな面を表現しようとしました。彼女は情熱的でとてもユニーク、自分の意見を強く出せるけれども、本当に優しく優雅に、リスペクトのある形で表現してくれる。それは本当にアスリートとして新しいタイプだと思います。人間として素晴らしいなと思ったので、強さと柔らかさを備えたものにしたいなと思いました。ハイウエストやオーバーサイズのフーディーなど大胆なところはあるけれども、素材は柔らかさがあったり、手触りが素晴らしかったり、メッシュをいろんなものに使ったり、仕上がりに細かい配慮をしたりということで柔らかと大胆さを組み合わせています。
ターニャ 彼女と一緒に仕事していて素晴らしいな思うのは、本当に多面性のあるアスリートであること。世界的な舞台を活かしてその多様性をセレブレートしたり、自分の背景をセレブレートしたり、世界正義について訴えたり。それこそが本当にパートナーショップを意味深くしてくれると思いますし、やはりそういった意見や動作が深いストーリーとしてデザインに活かしていけると思っています。
ターニャ なおみさんは本当にみんなに影響を与えています。ワークショップセッションのような形でいろんなイメージや写真、コンセプトになるサンプル、素材を寄せ合わせて一緒に話し合って、本当に細かいところまで見ながら選んだり、意見を出したりしてくれました。彼女が「これがいい」、「これはちょっと違う」などと提案してくれて、それを元にデザインをしていったのですが、なおみさんの全ての要素を活かそうと思いました。例えばクロップトップをデザインするときにも、いろんなバージョンのデザインをなおみさんに見せて、どの方向に向いていくかを随時彼女と相談しながら進めていきました。彼女にはヴィジョンもあるし、クリエイティヴィティーもあるので本当にクリエイティヴディレクターみたいな存在でした。
カーリー 独自のスタイルを持っていることがすごく有名になったというのもあると思います。テニスプレイヤーとしてだけではなくて、彼女が思ったことがデザインにも反映されていますし、やはりインクルーシヴな世界観をコレクションに盛り込んでほしいというところがありました。それは3つのピースがありまして、それを30のアウトフィットとして使えるように組み合わせられるようにつくったっていうところ。それはなおみさんディレクションに基づいていますね。なおみさんに「一番大事なことはなんですか」と聞いた時に、彼女は「誰にも着られるものであって、誰にでも着やすいものであること」と答えたんです。それは私たちにとって全体的を見ながらデザインするっていうところ、それが無限の組み合わせができるというところ。そこは難しかったですが、なおみさんは反映しています。
ナイキコート エア ズーム GP ターボ 大坂なおみ ¥19,250(税込)
5月24日よりナイキメンバー限定でNIKE.COM及びNIKE アプリで発売
カーリー 先ほども言った通り、なおみさんは「誰にでも着てもらえること」と言いましたし、このコレクションをやはりなおみさんらしい、なおみさんのパーソナルスタイルを反映したものにしてほしいということで、それを基につくっていきました。アイデアやオプションを決めることがあったらなおみさんだったらどうするか、どちらがいいかということを常に考えて、本当に彼女らしいコンセプトのコレクションにするというところ大事にしました。
カーリー なおみさんは本当に素晴らしいデザインパートナーだったと思います。優しく、深く考えてくれますし、リスペクトもしてくれるので「本当に大丈夫?」って確認してしまうくらい本当に優しい人でした。難しいところといえば、やはりすごく情熱的でクリエイティヴなので、彼女のヴィジョンを100%表現するというところがすごくチャレンジでした。その中でもモジュラーシステム、組み立て式のモジュールができるような、そして部品のように組み合わせて、多様に活用できるというところが難しいと思いました。今までこういうものをデザインしたことがなかったので、やはりクロップトップも細部に至るまで他のアイテムもそうですが、ほんの少しの部品を1個ずつつくらないといけないと思いました。ボディースーツやクロップトップ、ネックラインを合わせながらデザインをしなければならなかったので、なおみさんが大切にしている“誰にでも着てもらえる、多様に着てもらえるコレクション”がでてきたんじゃないかと思います。
カーリー いくつか例をあげながらお話をしたいなと思います。クロップトップに関してはデザインを考えているときにいろんなアイデアがありました。なおみさんがやはりカットの話、クロップトップスタイルの話を具体的に言ってくれましたし、あとリッチな素材があるというのが大事でした。ユーティリティショーツに関しては男性的だけれども、ハイファッション的なショーツにしてほしいと言ってくれたんですね。どこからインスピレーションをもらえるのかという質問ですが、それはいろんなところからきています。ミーティングの過程で一緒に東京に寄っていろんな写真を撮ったり、ストリートスタイルに目を向けたり、ヴィンテージのお店に行ったりしながら日本の影響もなおみさんのコレクションの根底に埋め込もうとしていました。やはり彼女のヘリテージに日本がありますから。ショーツに関してはヴィンテージ品のメンズパンツがすごくゆったりとしてて、ちょっと紐締めて履くようなアイテムだったのでヴィンテージのパンツの要素を取り入れています。このサンプルを見せたところ、なおみさんも気に入ってくれたので実際にコレクションで使おうと思いました。
カーリー やはりジェンダーレスTシャツですかね。これは誰でも着やすいというものになっています。これが本当にある意味インクルーシヴな色やプリントについても一つのプリントをなおみさんも皆さんも好きだと思いますし、きれいなグレーも誰でも着られるものですので、これが特に気に入ってもらえるかなと思います。
カーリー もちろんなおみさんはすごく世界に意識を向けているし、誰が知っている存在だし、このコレクションをサステイナブルにすることが一番大事だと思っています。オーガニックコットンや、再生ポリエステル、クラッシックごみを再生したものを使っておりますし、エネルギーや水を使わない化学染料、化学物や医学品をたくさん使わないものを採用しております。
ターニャ デザインのプロセスというのは、それぞれのアスリートや協力するデザイナーによって変わりますが、いろんな意見を盛り込んで、アスリートをよく理解して作り出します。今回はなおみさんですけれども、なおみさんの思いや好みのスタイルなどを反映させようと言うことですね。カーリーも言ってくれたましたが、やはりなおみさん自身がすごく進化しているので、それをデザインに反映させています。デザイナーとアスリートが協力する中でそれが大事だと思います。なおみさんと2年間協力していますが、初めて会った時から信頼関係を作っていき、質問を聞かずとも関係性からわかってくることや、普段の会話から感じられることもあって、そういうところを活かしていくようにしています。本当に素晴らしいと思うのは、アスリートの個性を盛り込むというところ。よく理解して、それを世界に伝えていくというところが大事かなと思います。やはりパートナーシップがあって、それがすごくナイキとして豊かなツールボックスとなっていくと思います。またナイキがもっている科学的知識やイノベーションの知識などを一緒に方程式の中に盛り込んで、ナイキの知識とアスリートからのいろんな意見を合わせるということがデザインの方程式だと思っています。
ターニャ その通りです。ナイキはなおみさんにもいろんな成長をしてほしいと思いますし、また同時にナイキにとってもいろんな知識を得ることで世界の女性全体にもサービスを展開できるんじゃないかと思います。
カーリー なおみさんのことについて一晩中話をすることができるくらい本当に素晴らしい方ですし、あとターニャが言ってくれましたが、本当に彼女は楽しもう、つくろうという意欲を持っているし、一緒に成長していこうという意欲も見せてくれました。ナイキに対してはイノベーションがあるっていうことを求めてくれましたし、ハイファッションカンパニーもぜひやりたいと言っていますし、インターンしたいとも言ってくれます。そういう彼女の探検心や成長への思い、ターニャも言ってくれましたが本当にいいコレクションが生まれる要素になってくるなと思います。また新しいアイデアを聞くのを楽しみにしています。
NIKE Customer Service
0120-6453-77
nike.com/jp
STAFF
TEXT: KAHO FUKUDA
DESIGN: AZUSA TSUBOTA